京都市交響楽団
第485回定期演奏会・没後10年 武満徹特集
2/18(土)18:00開演 (17:00開場)
京都コンサートホール
指揮:岩城宏之
ナレーション:吉行和子
独奏:三橋貴風(尺八)首藤久美子(琵琶)山岡秀明(アコーディオン
武満徹:弦楽のためのレクイエム(1957)ノヴェンバー・ステップス(1967)
夢時(1981)夢窓(1985)
系図」〜若い人たちのための音楽詩(1992)

初の岩城宏之にして初の京響
武満徹と親交の深かった指揮者・岩城宏之によるオール武満作品演奏会。
しかも「系図」をやるというからには行かずにはいられない。
修論作成や発表会で溜まった疲労を押していざ京都へ。


一曲目の「弦楽のためのレクイエム」は武満作品の中では最も頻繁に演奏され、自分も何度か実演に触れている。
聞くたびに武満独特のハーモニーに魅せられる。
京響の弦の響きは想像以上に密で粗がなく温かい。
関西では大フィルの響きがいいと思っていたけれどそれよりも上だ。
京都の響きいい。


二曲目は「ノヴェンバー・ステップス」。
自分にとっては鬼門の曲である。
高校の吹奏楽部部室にあった小澤・サイトウキネンのCDでこの曲を初めて聴いたが全く分からなかった。
それ以来何度か挑戦してみたけれど眠くなるだけだった。
そこで今回生で聴けば分かるかと思ったけれど、やはり途中で眠くなっちゃった。
岩城氏は西洋文化と日本文化の断絶を表現した曲だと解説で語っていた。
そこが鬼門の原因かも知れない。


三曲目・四曲目の「夢時(ゆめとき)」と「夢窓(ゆめまど)」、初めて聞いたけれどすごくいい。
想像もしなかった重厚な響きだ。
これが武満サウンドかと唸ってしまう。
弦のアンサンブルも見事。
いろんな楽器が使われていて見ていても面白い。


いよいよ最後は「系図」。
これは武満作品の中で一番好きな曲。
高校のときにラジオでN響の演奏を耳にして大好きになった。
アコーディオンがさり気なく奏でる旋律が心に沁みる。
この曲を聴くたびに温かい橙色の夕日や夕焼けの空が目に浮かぶ。
そして、詩からは子どもの瞳が放つ大人への痛切な眼差しが響いてくる。
今日の演奏でもそれは変わらなかった。
京響の温かい響きに吉行和子さんの落ち着きのある朗読。
少女の朗読も良いけれどベテラン女優の朗読も慈愛に満ちていて心地好い。
じんわりと心が温かくなる名演だった。


感動とは押し付けなくてもやることやってれば自然に湧いてくるものなのだ。
また京響に行こうっと。