最近読んだ本。

私小説 from left to right (新潮文庫)

私小説 from left to right (新潮文庫)

本格小説(上) (新潮文庫)

本格小説(上) (新潮文庫)

本格小説(下) (新潮文庫)

本格小説(下) (新潮文庫)

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)

世界をよくする現代思想入門 (ちくま新書)

世界をよくする現代思想入門 (ちくま新書)

友人宅で見付けた昔のSTUDIO VOICEに安原顕が水村美苗のことを本物の小説家だと言っている文章が載っていたので、『本格小説』が昨年末に文庫化されたのを機に『私小説』を年末に、『本格小説』を正月に読む。
本格小説』は島田雅彦の無限のカノン三部作以来のおもしろさ。
過去と現在が様々な場で繋がり恋愛や人生の機微が溢れていてとてもいい。


西洋音楽史』はクラシック音楽の盛衰から現代音楽やジャズに至るまで幅広い射程ながら時代背景や当時の音楽の機能や需要のされ方などクラシック音楽のおかれた状況を丁寧に語っているので、なぜクラシック音楽が今のような形で存在しているのかが良く分かる。
この本のように知識の網羅でなく意味の説明であると読んでいてとても面白い。


日露戦争の世紀』も知識に意味が加わる内容なので面白い。
日露戦争前後の日本の言説状況が現代の日本と似ているところが少なくないことに驚く。
というかなんか残念。


『世界をよくする現代思想入門』とはタイトルからして少し怪しかったけれど、読むと悪くなかった。
現代思想と哲学の違いってなんだろうと思うひとが読むと何らかの示唆が得られるかも。
個人的にはローティがヴィトゲンシュタインと並ぶ重要な思想家として紹介されていることがうれしかった。
ローティは自分が哲学をかじり始めた頃はじめて共感できた哲学者だからだ。
また、アガンベンにも触れられていてうれしい。
アウシュビッツの残りもの』には自分も大きな衝撃を受けた。
入門書で重要な思想家としてローティ・アガンベン・ナンシーが取り上げられるようになったことはとてもうれしい。
やっとこういう本が出たかという感じ。