先週はコンサートへ4つも行く。
16日;金聖響指揮大阪センチュリー交響楽団演奏会@ザ・シンフォニーホール
17日;キース・ジャレットコンサート@フェスティヴァルホール。
20日;美輪明宏音楽会<愛>@シアタードラマシティー
22日;レ・ヴァン・フランセ@ザ・シンフォニーホール
金聖響は情熱と技術はあるようだけれどオケが彼のほとばしる情熱に答え切れていないのがなんとも痛々しい。ベートヴェンの第7番という好きな曲だけに余計に悲しい。満場の拍手がなんとも虚しく聞こえる。本当にみなさん分かってんの。日本のオケに特徴的な弦の響かなさには毎回へきへきする。盛り上げようとすると、深い響きにならず擦り切れたような響きにしかならないのはなぜなんだ。こんな音を聞くたびに毎回悲しくなる。日本人にも優れた若手指揮者がたくさんいるのにこんな日本のおけじゃ海外で演奏活動をしてたほうが楽しいに決まってる。日本のオケでの例外はジャパン・シンフォニア。日本のオケでの佐渡裕小林研一郎のように情熱の空回りではなく、井上喜惟の深い思いを弦がしっかりと支え見事に表現している。この弦の響きがまことに素晴らしい。深く暖かい包み込まれる響き。日本で唯一信頼できる指揮者とオケだ。

キース・ジャレットコンサートでは魂の震える演奏に終始しびれる。音楽、音が降りてくるとはこのことか。神がかり的な演奏。静謐なメロディを奏でるキースもいいが、体の中から湧き出すインスピレーションをピアノにぶつけ呻き、唸りまくる彼も素晴らしい。魂の演奏ってこのことだ。それと大阪の観客は凄いね。アンコールを3回もやらせちゃったよ。

美輪明宏には最後の「愛の讃歌」で全身に電流が走り、アンコールの「花」でしびれ過ぎてしばらく体の震えが止まらず放心状態に。帰途でも痺れと震えが治らず困った。美輪明宏が本気を出すと凄まじいエネルギーを放つ。ある意味、畏ろしい人だ。彼はきっと菩薩寸前の人間なのだろう。そんな人を目にすると今の自分はまだまだ修業が足りないと改めて感じる。その夜も興奮が収まらずまたまた困る。潜在意識が蠢き出したぞ。

レ・ヴァン・フランセの演奏会に向かう途中、会場の近くでフルートのエマニュエルパユ、クラリネットのポール・メイエ、ホルンのラドヴァン・ヴラトコヴィチを目撃する。開演1時間前にパユとメイエはローソンで買い物、ヴラトコヴィチはなか卯で私と同じカウンターでうどんをすする。割り箸をちゃんと使ってる。世界でトップクラスの演奏家の日常を目撃できとても愉快。なんだか親近感が沸く。開演すると彼らの演奏はテクニック、音色ともに秀逸。さっきうどんをすすっていたおじさんとは思えないふくよかなホルンの音色には心を洗われる。本物に触れるのは気持ちがいい。でも、彼らの演奏は始終クール。うまいなぁとは思うけれど、サインくださいと楽屋口で出待ちをするほどの感動はないな。そこらへんは趣味の問題だね。