デリダの遺言―「生き生き」とした思想を語る死者へ

デリダの遺言―「生き生き」とした思想を語る死者へ

読了。やっと積読本が一つ減った。二章、三章は良いお勉強。ロマン主義からデリダまでを分かりやすくまとめる著者の力量は相変わらず。でも、四章、五章は不思議な感じ。特に五章は一息に書きましたというようなたたみかける文章。筆者の中にはそうとういろんなものが溜まっていたのだろうと思わせる。そういう文章をふむふむと素直に読んでいる自分もどうかと思うけれど、そんなに反感を抱かないので自分は著者の言うワンくんではなさそう。生き生きした言説も結局は消費されていつかは忘れ去られるのが運命だし、生き生きした言説の中でどれだけのものが遠い将来においても振り返る参照点として生き残るんだろうか。と言いつつ、宮台真司の本と仲正さんの本を立て続けに読んでいる自分がいるわけで。社会や人間を知るための参考書程度の扱いだから両方とも真に受けずに読めるのかな。自分はあまりいい読者ではないな。心情的には宮台を絶賛する気にもなれないし、仲正さんのように生き生きした人たちをあえて批判する気にもなれない。でも、生き生き系の言論人の講演会などで話を聞いて生き生きしだすオジサンやオバサンは嫌だ。
思想や哲学も自分のような冷めた消費者に取捨選択され消費されてしまうとはしょっぱいね。