日本文学史序説〈上〉 (ちくま学芸文庫)
この加藤周一の仕事はすごい。一人でこれだけの情報を処理し、まとめあげるとは圧巻。知の巨人と言われるのも納得。日本思想や日本文学については勉強を始めたばかりだけれど、この序説と小熊英二の本を読めば古代から現代までの鳥瞰図は得られる。西洋の歴史では暗黒時代と言われ目立った思想や文明がないと言われる時期があるが、日本については平安時代から途切れることなく文化や思想を語ることができる。このことだけをとってみても日本は世界に誇れるのではないだろうか。歴史や文化を学びなおすこと、これも未来を拓くためのひとつの方法。今さらこんなことをベタに言っても笑い者になるだけだろうし、言い古されたことでもある。けれど、やはり真理であるから仕様がない。おっと、ローティやデリダを勉強していて“真理”という言葉を使うとは、やはりベタだな・・・。